■南極リポート(第7回) 『昭和基地の無線局』
 日本のみなさん、こんにちは。

 やっと太陽の昇らない極夜が明けて、昭和基地にも太陽が戻ってきました。太陽が出ている時間はまだ4時間程度ですが、野外活動も盛んになり昭和基地も活気づいてきています。悪かった短波のコンディションも徐々に回復してきているようです。
昭和基地の耳とも言える、通信室
中波・短波送信機  昭和基地にはアマチュア無線局(8J1RL)の他にも業務で使用している無線局がたくさんあります。衛星通信設備の他、遠く離れた沿岸での調査や内陸調査に出かけたパーティおよびドームふじ基地との定時交信に使用するHF(短波)、調査に出かけた隊員同士や基地周辺で使用するVHF(超短波)やUHF(極超短波)等が代表的なものですが、観測のための実験局やラジオゾンデに使用している気象援助局等を含めると350を超える無線局があります。

 無線局にはそれぞれコールサインがあります。VHF・UHFのトランシーバーには「なんきょく*」携帯用のHFトランシーバーには「しょうわ*」、また車載用のHFトランシーバーには「JGX*」(*は1〜3桁の数字)、そして昭和基地の代表的な短波設備(出力2kW)にはJGXが割り当てられています。JGXは、日本と南極を往復する「砕氷艦しらせ」との通信にも使用されています。

 また、36次隊までは、千葉県にあった銚子無線電報局との間で短波のモールス通信による電報の交換が行われていましたが、衛星通信設備の充実に伴いこの回線は廃止されました。極域の不安定な電離層状態に当時の通信士は通信の確保に苦労していました。現在では日本国内と短波で結ぶ通信は、アマチュア無線だけとなりました。
(第46次日本南極地域観測隊 小林正幸 JR1FVH 2005/7/25

写真1(上から):通信室。昭和基地の耳とも言える、通信室です。通信卓には3台の全波受信機の他、多くの通信機器が納められています。送信棟にある送信機は、ここから遠隔制御されます。(画像をクリックすると大きな画像が見られます。以下おなじ)

写真2:中波・短波送信機。基地から離れたアンテナ島にある送信棟の内部です。中波・短波用の送信機が並んでいます。

写真3:コニカルダイポールアンテナ。南極の内陸向けに展張された、短波用の送信アンテナです。

写真4:ログペリオディックアンテナ。日本方向に向けられた短波用送信アンテナです。

写真5:極夜明けの太陽。7月15日の太陽です。1時間半くらいで沈んでしまいました。

コニカルダイポールアンテナ
ログペリオディックアンテナ
極夜明けの太陽
協力:国立極地研究所